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なぜ日本では「4」が縁起の悪い数字なの?

理由は意外と単純な「音」の問題。病院の部屋番号や車のナンバー、贈り物のマナーにまで、そのなごりが残っています。

Illustration of a calm hospital corridor with a row of doors, one number in the sequence quietly skipped
AI-generated illustration

ざっくり言うと

数字の「四」は「し」とも読み、これが「死(し)」と同じ音になるため、縁起が悪いとされてきました。同じように「九(く)」は「苦(く)」に通じるので、4と9は「忌み数(いみかず)」、つまり避けたほうがいいとされる数字の代表です。

とはいえ、日常生活で4を見るたびに気にする人は多くありません。避けられるのは、病院の部屋番号やお祝いの贈り物など、「死」や「苦しみ」を連想させると相手を不快にさせかねない場面が中心です。

「死」と同じ音になるという言葉の問題

日本語の数字には、中国から伝わった読み方(音読み)と、日本古来の読み方(訓読み)が混ざっています。4の音読みは「し」、訓読みは「よ(よん)」です。辞書でも、忌み数は「四(死)、九(苦)など」と説明されており、4と9に加えて「死に」と読める42も嫌われてきました。

こうした感覚は、日本だけのものではありません。中国語や韓国語でも4と「死」の発音が同じか似ているため、中国、韓国、台湾、香港などでも4は嫌われています。ただし中国では、9は「久」と同じ音で「永く続く」ことを連想させる縁起のいい数字とされ、日本とは逆です。台湾でも9は縁起が良く、旧暦の9月9日はお年寄りを敬う日になっています。中国系の住民が多いシンガポールやマレーシアでも4は嫌われているそうです。 中国では「14」や「24」も、「確かに死ぬ」「死にやすい」に聞こえるとして避けられるそうです。韓国では4階のない建物や、エレベーターの4階のボタンを「F(fourの頭文字)」と表示する例があり、仁川国際空港には4番と44番の搭乗口がないといわれます。

4を避ける習慣がいつから始まったのかは、はっきりしません。民間シンクタンクのニッセイ基礎研究所のレポートは、古い神道には4を嫌う考え方はなかったようだと指摘しています。例えば出雲大社の参拝作法は「二礼四拍手一礼」で、4回手を打ちます。同じレポートは、平安時代には四を「し」と読むのを避けて「よ」と呼んだようだ、とも紹介しています。

ちなみに百科事典によれば、数に縁起の良し悪しを見る考え方は世界中にあり、日本では「八百万(やおよろず)の神」のように、末広がりの形をした「八」を聖なる数とする例もあります。4だけが特別に嫌われているというより、「音」や「形」から意味を読み取る感覚の一つだといえます。

「四」という漢字と数え方の不思議

漢数字の一・二・三は横線の数で数を表しているのに、なぜ4だけ「四」なのでしょうか。ニッセイ基礎研究所のレポートによると、古代の甲骨文字などでは4本の横線で4を表していましたが、4本線は読みにくいこともあって、別の意味を持つ字だった「四」が同じ読みの当て字として使われるようになったとされます。

数え方にも面白い特徴があります。NHKの放送用の基準では、4・7・9は原則として「ヨン」「ナナ」「キュー」と読みます。ところが「イチ、ニ、サン…」と順番に数え上げるときは「シ」「シチ」「ク」の読み方も使われます。つまり日本人は、場面に応じて2つの読み方を自然に使い分けているのです。

今も残る「4を避ける」場面

言葉の中にもなごりがあります。「四日(よっか)」「四年(よねん)」「四回(よんかい)」など、多くの言葉では「し」ではなく「よ」「よん」と読みます。NHKでも、数字の4は原則として「ヨン」と読むことにしています(「シ」も許容)。ただし、これは聞き間違い防止のためでもあり、「し」は「しち(7)」と紛らわしいという事情もあります。一方で「四季(しき)」「四方(しほう)」のように「し」と読む言葉も普通に使われています。

建物では、マンションの部屋番号で4のつく番号が飛ばされていることがあります。特に病院では、4と、「苦」に通じる9の部屋番号を避ける例が多いとされます。一方、中国や韓国では4階そのものがない建物も珍しくないのに対し、日本では4階を欠番にするケースはあまり見られないそうです。

車のナンバープレートにも影響があります。一般的な番号の割り当てでは、下2桁の「42」(死に)と「49」(死苦)は使われていません。ただし、自分で番号を選べる「希望ナンバー」の制度を使えば指定することもできます。 ちなみに、日本国籍を持たない人が所有する自家用車などのナンバーでは、西洋で嫌われる「13」も使われないそうです。

お正月のおせち料理を詰める重箱でも、4段目を「四の重」とは呼ばず「与の重(よのじゅう)」と呼ぶ習慣があります。

贈り物のマナーと「奇数・偶数」

4と9がはっきり避けられるのが贈り物の場面です。デパートや日本郵便のギフト案内では、品物の数は奇数が望ましく、4(死)や9(苦)は避けるのが基本とされています。

これは奇数・偶数の考え方とも関係しています。古代中国の陰陽の思想では奇数が「陽」、偶数が「陰」とされ、日本のお祝い事でも「割り切れない」奇数が好まれ、「割れる」「別れる」を連想させる偶数は避けられがちです。ただし、ペア(2個)や半ダース(6個)、1ダース(12個)はひと組として数えるので問題なく、8は漢字の「八」が末広がりの形であることから縁起のいい数字とされます。

数字以外にも語呂合わせのタブーがあります。例えば櫛(くし)は「苦」と「死」を連想させるとして、お祝いの贈り物には好まれないとされています。

外国から来た人が戸惑うポイント

欧米では13が不吉な数字として知られていますが、日本で本当に気をつけるべきなのは4と9です。一方、キリスト教の文化では4は十字架や4つの福音書と結びつき、むしろ良い数字とされることもあります。国によって数字の印象がまったく違うのは面白いところです。

旅行中に4や9を意識する場面は、病院やマンションの部屋番号、車のナンバー、そして贈り物の数くらいです。お土産や贈答品の詰め合わせを選ぶときは、4個入りや9個入りを避け、奇数か、ペアやダースのようにひと組と数えられる数を選べば安心です。

とはいえ、神経質になりすぎる必要はありません。デパートのギフト案内も、地域や家庭によって考え方には違いがあり、マナー違反を極端に恐れる必要はないと書いています。知っておいて、贈り物やお見舞いのときに少し気をつければ十分です。

ヒント

  • 贈り物やお土産を渡すときは、4個・9個入りを避け、3個や5個など奇数の詰め合わせを選ぶと安心です。
  • 入院中の人へのお見舞いでは、特に4と9に気をつけましょう。「死」や「苦しみ」を連想させる品物も避けるのが無難です。
  • 数字の4を口に出すときは「よん」と言えば自然です。日付の4日は「よっか」と読みます。
  • マンションや病院で4号室や9号室が見当たらなくても、番号の付け間違いではありません。
  • 日常の買い物や電話番号の4を気にする人はほとんどいません。気にしすぎず、場面に応じて配慮すれば十分です。

出典

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