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おにぎり

ご飯を手で握るだけ。なのに千年以上の歴史があり、海苔の代わりに昆布や漬物で包む地方もあります。コンビニの棚の奥にある、おにぎりの世界をのぞいてみましょう。

Two triangular onigiri rice balls wrapped in dark nori seaweed
Photo: Ocdp (新しいタブで開きます), CC0 (新しいタブで開きます), via Wikimedia Commons
ゆかりの地域

全国で食べられている料理

本場として知られるのは 富山県・広島県。

  • 富山県海苔ではなく白と黒の「とろろ昆布」で包むのが県民の定番。北前船が運んだ北海道の昆布が始まり
  • 広島県県特産の広島菜漬けでおにぎりを巻く「広島菜むすび」が県内全域で親しまれている

おにぎりとはどんな食べ物?

おにぎりは、炊いたご飯を手で三角形や俵形(円柱形)などに握った食べ物です。中には梅干し、昆布、塩鮭など、塩気や酸味のある「具」を入れることが多く、外側を海苔(のり:海藻を紙のように薄く乾燥させたもの)で包みます。具を入れず塩だけで握ったものは「塩むすび」と呼ばれます。

持ち運びやすく手で食べられるので、毎日のお弁当、遠足や行楽、夜食など、さまざまな場面で食べられています。コンビニやスーパーでも気軽に買えるため、日本人の食生活に深く根付いた料理です。「おむすび」とも呼ばれ、どちらも同じものを指します。農林水産省がごはん食を応援する企画でも「チームおにぎり」「チームおむすび」と両方の呼び名を使っています。

千年以上前からある携帯食:おにぎりの歴史

おにぎりのルーツは古く、紀元前1世紀ごろの遺跡から見つかった、お供え物と考えられる米の塊がその始まりではないかといわれています。平安時代に紫式部が書いた『源氏物語』には、貴族の宴の際に身分の低い人たちに配られた「屯食(とんじき)」が登場します。蒸した米を握り固めたもので、これがおにぎりの原型とされています。

広く食べられるようになったのは鎌倉時代で、持ち歩けて手で食べられることから、武士が戦場で食べる食事として広まったとされます。江戸時代には芝居見物の合間に食べる「幕の内弁当」が生まれ、江戸時代後期の書物『守貞謾稿(もりさだまんこう)』には、その中身として握り飯10個と煮物や卵焼きなどが記されています。

ご飯を海苔で包むようになった時期については、江戸時代中期に東京湾で海苔の養殖が始まってからとする説がよく知られていますが、それより後の時代とする説もあり、はっきりしていません。

コンビニおにぎりと「パリパリ」の海苔

作り置きのおにぎりは、海苔がご飯の水分を吸ってしっとりしてしまいます。そこで1978年、コンビニ大手が海苔とご飯をフィルムで隔てる包装を開発しました。食べる直前にフィルムを抜き取って海苔を巻くので、パリパリの食感が楽しめます。その後も開け方の改良が重ねられ、今のコンビニの三角おにぎりの多くがこの包装になっています。

一方で、家庭や専門店では、最初から海苔を巻いてなじませた「しっとり」派も根強くいます。東京には、寿司屋のようにカウンターで具を選び、目の前で握ってもらうおにぎり専門店もあります。白いご飯がまだぜいたく品だった1950年代から続く店もあるほどです。

海苔の代わりに昆布や漬物:地方のおにぎり

富山県では、おにぎりといえば海苔ではなく「とろろ昆布」(酢漬けにした昆布を重ねて固め、側面を細く削ったもの)で包むのが定番です。富山県内では昆布はほとんどとれませんが、江戸時代に北前船(日本海沿岸を行き来した商船)が北海道の昆布を大量に運んできたことから、昆布を多く食べる文化が根付きました。白と黒の2種類のとろろ昆布があり、黒は酸味が強く、白は控えめでやわらかい食感です。時間がたってもふわっとした柔らかさが保たれるのが良さだそうで、祭りや運動会など人が集まるときに作られます。

広島県では、おにぎりを「広島菜漬け」(アブラナ科の葉野菜・広島菜の漬物)で巻いた「広島菜むすび」が県内全域で親しまれています。広島菜は長野県の野沢菜、九州の高菜と並んで「日本三大漬菜」と呼ばれ、ほんのり辛い風味が特徴です。最近はコンビニのおにぎりにも使われるようになりました。

食べ方と具の選び方

おにぎりは手で持って、そのままかじって食べます。昔ながらの具は梅干し、削り節(かつお節)、昆布の佃煮(醤油で甘辛く煮たもの)などで、保存がきくよう塩気の強いものが選ばれてきました。梅干しはとても酸っぱくて塩辛いので、初めての人は驚くかもしれません。

ご飯を握ってから焼き色がつくまで焼き、醤油や味噌を塗ってさらにあぶった「焼きおにぎり」もあります。

食事制限のある方へ:具には鮭やたらこ、ツナ、かつお節など魚を使ったものが多くあります。肉や魚を避けたい方は、具の内容を確認してから選んでください。

ヒント

  • コンビニの海苔巻きおにぎりは、食べる直前にフィルムを引き抜いて海苔を巻く仕組みです。パリパリの海苔はそのためのひと手間です。
  • 梅干しは強い酸味と塩気があります。初めてなら鮭や昆布など、なじみやすい具から試すのがおすすめです。
  • 富山県を訪れたら、とろろ昆布で包んだおにぎりを。白と黒の昆布の違いも楽しめます。
  • 専門店では、目の前で握ってもらう握りたての食感を味わえます。
  • 魚を避けたい場合は、具の内容を確認してから選びましょう。

出典

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