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広島県

広島は雪の山々から島々の浮かぶ海まで広がり、交易とものづくりの歴史、そして平和への揺るぎない思いを抱く県です。

A view of Mitaki-dera Temple in its wooded mountain setting.
Photo: Binabik155, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

山あいの谷から内海へ

広島県は北へ進むにつれて表情を変えます。南端は瀬戸内海に面し、島々が水平線を区切り、港が沿岸の町々を結んでいます。内陸では、本州西部を横断する山脈である中国山地に向かって丘陵が高まっていきます。北部の谷あいは雨が多く、冬には雪が降ります。一方、海岸部はおおむね穏やかで晴れの多い気候です。広島市は海沿いの世界に属していますが、大部分が山がちなこの県のほんの一部にすぎません。

宮島は、ここで海と山がいかに近く接しているかを示しています。満潮時には厳島神社が水の上に立っているように見え、沖合に立つ鳥居(神道の神社への参道を示す門)は、潮が引くとまったく違った姿を見せます。さらに東の尾道は、古い港の上の急斜面に町が広がっています。そこから、島々を渡る道路でありサイクリングルートでもある「しまなみ海道」が、橋を渡って四国へと旅人を運びます。海岸の北には三段峡や帝釈峡があり、川や木々に覆われた斜面、散策路からなる、もうひとつの広島を見せてくれます。

港町の歴史、そして再建された都市

広島市が原爆投下によって世界に知られるようになる前、ここは城下町であり、瀬戸内海の航路上のにぎやかな拠点でした。周辺の農村や広島湾からの産物は、牡蠣も含めて、この町を通って日本各地へ運ばれていきました。尾道もまた、海運による交易を中心に発展しました。こうした古くからのつながりが、この県が「日帰り旅行先が付属したひとつの都市」ではなく、個性の異なる場所の集まりのように感じられる理由を説明してくれます。

1945年8月6日、原子爆弾が広島市を壊滅させました。原爆ドームは、かつて地元の産品を展示していた建物の残骸で、のちに市民が保存のために力を尽くしました。近くの平和記念公園と資料館は、ここで人々に何が起きたのかに向き合うよう訪れる人に求めており、その周りの再建された街並みは、この町が暮らしと仕事を続けていることを示しています。宮島の厳島神社は、県のもうひとつの世界遺産です。思慮深い訪問では、1945年以前の数世紀と、それ以来広島が担ってきた責任、その両方の歴史に目を向ける余地を残しておきましょう。

海と畑が食卓にもたらすもの

広島風お好み焼きは、材料を混ぜ合わせるのではなく重ねて作る、塩味のパンケーキのような料理です。キャベツ、豚肉、卵、麺が入ってボリュームのある食事になり、熱い鉄板の上でできあがっていく様子を見るのも楽しみのひとつです。牡蠣も古くからの地元の味で、焼き牡蠣やカキフライのほか、さまざまな料理で出されます。宮島周辺では、もみじまんじゅうも見かけるでしょう。伝統的に甘いあんこが入った、もみじの葉の形をした小さなお菓子です。

日当たりのよい島々や海岸部では、とくに呉や尾道などの周辺でレモンが栽培されています。その栽培は19世紀後半にさかのぼる歴史があり、この果物は雪の多い北部とはまったく異なる食のアイデンティティを県にもたらしています。東広島市の西条は、日本酒(Japanese rice wine)とその酒蔵で知られています。広島の産品は食べ物ばかりではありません。熊野町では、書道や絵画に使う筆や化粧筆が作られています。一皿の料理や上質な筆は、特定の町に根づいた技術に気づくきっかけになります。

地元の言葉と、舞台で語られる物語

標準語とあわせて、地元の方言である広島弁にも耳を傾けてみてください。「じゃけえ」は「だから」「そういうわけで」という意味で、この小さな言葉が日常の説明をぐっと地元らしい響きにします。日本語が話せなくても、県内を移動するにつれて会話のリズムや言い回しが変わることに気づけるでしょう。

広島には神楽の伝統も根強く残っています。神楽は神道の神社と結びついた神聖な舞と劇の一形態で、地元の団体が衣装や太鼓、笛を使って物語を演じます。もともとは地域の宗教生活の一部として始まり、子ども神楽団などを通じて、今も世代から世代へと受け継がれています。上演の言葉がわからなくても、音楽や動き、登場人物から、そこに込められた思いは容易に感じ取れます。

四季の感触

春には北部の谷あいが新緑に染まり、町や庭園に桜が咲きます。夏は水辺や祭りに関心が向き、広島市では8月6日の平和記念の行事が行われます。秋は三段峡や帝釈峡といった山の峡谷がとりわけ色鮮やかで、宮島周辺ではもみじが彩りを添えます。

冬は県内の最もはっきりした対比を見せてくれます。海沿いの広島は比較的穏やかなままですが、北部の山々はウィンタースポーツができるほど寒く、雪が降ります。年末年始には、厳島神社にお参りするために宮島を訪れる人々もいます。海岸と山間部の両方を回る予定なら、ひとつの広島の天気予報として考えるのではなく、それぞれ異なる季節の舞台として考えてください。

アクセスと、県庁所在地の先へ

多くの旅行者は、日本の高速鉄道である新幹線で到着します。新幹線は広島と大阪、東京、福岡などの都市を結んでいます。広島空港ももうひとつの玄関口で、市内へはバスで移動できます。広島市内では、路面電車やバスで平和記念公園周辺へ簡単に行くことができます。在来線は海岸に沿って尾道などの町へと続いています。

宮島へは、本土側の宮島口まで行ってフェリーに乗ります。水面越しに振り返る眺めとともに、この渡航そのものが体験の一部です。尾道は、しまなみ海道を自転車で巡るための便利な出発点です。内陸への旅にはもう少し計画が必要です。三段峡へはバスで行けますが、より広い山間部を巡るには車があると便利です。海岸、島々、北部に旅程の別々の時間を割り当てれば、それぞれの地域がその魅力を存分に語ってくれるでしょう。

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