稲取温泉 雛のつるし飾りまつり
高価な雛人形を買えなかった母や祖母たちが、着物の端切れで縫った小さな人形。伊豆の港町・稲取で生まれたその飾りが、早春の町じゅうを彩ります。
最近の開催
| 年 | 日程 | 来場者数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2026 | 1月20日〜3月31日 | — | 第29回。文化公園 雛の館など4会場で展示。素盞鳴神社雛段飾りは2月14日〜3月8日。 |
| 2025 | 1月20日〜3月31日 | — | 第28回。 |
| 2024 | 1月20日〜3月31日 | — | 第27回。 |
| 2023 | 1月20日〜3月31日 | — | 第26回。素盞鳴神社雛段飾りは2月18日〜3月12日で、2月20日は中止になりました。 |
どんな祭り? いつ、どこで?
雛のつるし飾りまつりは、静岡県の伊豆半島東海岸にある東伊豆町の稲取温泉で、毎年1月20日から3月31日まで開かれる行事です。主催は地元の稲取温泉旅館協同組合で、2026年には29回目を迎えました。
「雛のつるし飾り」とは、ひな祭り(3月3日に女の子の成長と幸せを願う行事)のときに、雛人形を並べた段の両脇に、布で作った小さな人形をひもでつないで吊るす飾りのことです。稲取はこの風習の発祥の地とされています。期間中は町内の複数の会場で、たくさんのつるし飾りと雛人形が展示されます。
端切れから生まれた、子を思う飾り
始まりははっきりしていませんが、明治生まれのおばあさんが子どもの頃にはすでにあったと伝えられていることから、江戸時代後期にさかのぼると考えられています。
当時、雛人形は一部の裕福な家しか持てない高価なものでした。そこで普通の家庭の母親や祖母、おば、近所の人たちが、古い着物の端切れを持ち寄り、女の子の健康と幸せへの願いを込めた小さな人形を少しずつ縫ってつないだのが始まりとされます。
布で作った吊るし飾りの風習は全国でも珍しく、主催者によると、福岡県柳川の「さげもん」、山形県酒田の「傘福」と並んで、歴史的な背景や資料が残る3つの地域の一つです。
ひとつひとつの形に込められた意味
つるし飾りの人形には、それぞれ縁起のよい意味があります。たとえばフクロウは「福」や「不苦労(苦労がない)」にかけたもの、だるまは何度倒れても起き上がることから福を招く縁起物で、赤い色には病気よけの意味があるとされます。
カメと折り鶴は長寿のしるし、枕は「寝る子は育つ」ということわざから、ハトはむせないと言われることから授乳中の赤ちゃんの無事を願うものです。ほおずきは女性のお守りとされ、羽子板(正月の羽根つき遊びの板)は厄をはね飛ばすという意味があります。会場では、ひとつひとつの形を探しながら見て回るのも楽しみ方の一つです。
4つの展示会場と、118段の雛段飾り
メイン会場は「文化公園 雛の館」です。2026年の案内では、約1万1千個のつるし飾りに加え、6,409個を使ったジャンボつるし飾りと17段のジャンボ雛壇が展示され、柳川のさげもんや酒田の傘福も見られます。このほか、江戸時代の古い雛人形を展示する「なぶらとと」、稲取の一般家庭の飾り方に近い展示の「収穫体験農園ふたつぼり」、稲取の総社(地域の中心となる神社)である「八幡神社」も会場になります。
期間中のハイライトが「素盞鳴(すさのお)神社雛段飾り」です。1617年創立とされる神社の本殿へ続く118段の石段に、雛人形とつるし飾りがずらりと並びます。主催者によると、雛人形を飾る段数としては日本一です。展示は期間中の一部だけで、2026年は2月14日から3月8日まで、昼間のみ行われ、雨の日は中止でした。
訪れる前に知っておきたいこと
稲取温泉へは、伊豆急行線の伊豆稲取駅が最寄りです。会場は稲取漁港と温泉街の周りに点在しているので、主催者の会場マップを見ながら回りましょう。
同じ時期には、近くの河津で早咲きの桜を楽しむ「河津桜まつり」も開かれます(2026年は2月7日〜3月8日)。素盞鳴神社の雛段飾りと河津桜の両方を見たいなら、2月中旬から3月上旬が狙い目です。
雛の館は、まつりの期間以外にも開館する時期があります(2026年は秋季にも開館)。また、つるし飾りの制作を体験できる施設もあり、事前の予約が必要な場合があります。
ヒント
- 素盞鳴神社の雛段飾りは、まつり期間(1月20日〜3月31日)のうち2月中旬〜3月上旬ごろの限られた期間だけです。雨の日は中止になるので、天気予報も確認しましょう。
- 素盞鳴神社の石段は118段あります。歩きやすい靴で行きましょう。
- まずはメイン会場の「文化公園 雛の館」へ。ジャンボつるし飾りのほか、柳川・酒田のつるし飾りも見比べられます。
- 2月上旬から3月上旬なら、河津桜まつりと組み合わせて伊豆の早春を楽しめます。
- 素盞鳴神社では、施設の運営管理費として協力金をお願いしています。
出典
- 稲取温泉旅館協同組合「雛のつるし飾り」 (新しいタブで開きます)
- 稲取温泉旅館協同組合「第29回 雛のつるし飾りまつり」 (新しいタブで開きます)
- 稲取温泉旅館協同組合「第29回 雛のつるし飾りまつり」リーフレット(表) (新しいタブで開きます)
- 稲取温泉旅館協同組合「雛のつるし飾りまつり」リーフレット(裏・会場案内と地図) (新しいタブで開きます)
- 稲取温泉旅館協同組合「雛のつるし飾り」形と意味 (新しいタブで開きます)
- 稲取温泉旅館協同組合「文化公園雛の館」 (新しいタブで開きます)
- 稲取温泉旅館協同組合「雛のつるし飾り」2025年2月時点(Internet Archive) (新しいタブで開きます)
- 稲取温泉旅館協同組合「雛のつるし飾り」2024年2月時点(Internet Archive) (新しいタブで開きます)
- 稲取温泉旅館協同組合「雛のつるし飾り」2023年2月時点(Internet Archive) (新しいタブで開きます)
- Wikipedia「稲取温泉」(補助資料) (新しいタブで開きます)