長浜曳山まつり
豪華な山車の上の小さな舞台で、5歳から12歳くらいの男の子たちが本格的な歌舞伎を演じます。琵琶湖のほとり、滋賀県長浜市で400年近く続く春の祭りです。
最近の開催
| 年 | 日程 | 来場者数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2026 | 4月9日〜17日 | — | 出番山は常磐山・孔雀山・翁山・萬歳樓。15日は曇りで曳山にカバーが掛けられた中、壱番山の常磐山から奉納が始まりました。博物館がYouTubeで生配信しました。 |
| 2025 | 4月9日〜17日 | — | 出番山は猩々丸・鳳凰山・壽山・高砂山(くじ順)。 |
| 2024 | 4月9日〜17日 | — | 出番山は諫皷山・青海山・月宮殿・春日山(くじ順)。 |
| 2023 | 4月9日〜17日 | — | 秀吉が長浜の町を開いて450年を記念し、15日に13基すべての曳山が御旅所に勢ぞろいしました。 |
いつ、どこで開かれる?
長浜曳山まつり(長浜曳山祭)は、滋賀県長浜市の長浜八幡宮(ながはまはちまんぐう)の春の祭礼で、毎年4月9日から17日まで、長浜の旧市街を舞台に開かれます。日付が決まっているので、曜日に関係なく毎年同じ日程です。
いちばんの見どころの日は4月15日で、地元では「本日(ほんび)」と呼ばれます。この日は朝から長浜八幡宮で子ども歌舞伎が奉納され、その後、曳山(ひきやま)が御旅所(おたびしょ。祭りの間、神様が一時的にとどまる場所)へ移りながら、途中の参道や御旅所でも上演が続きます。
長浜は京都の祇園祭、岐阜県の高山祭と並んで「日本三大山車祭」の一つに数えられることがあり、1979年に国の重要無形民俗文化財に指定され、2016年には全国33の「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録されました。
曳山の上で演じる「子ども歌舞伎」
曳山とは、祭りで町を曳いて回る山車(だし)のことです。長浜の曳山は江戸時代の職人技を集めた飾り金具や彫刻、絵で彩られ、「動く美術館」とも呼ばれます。曳山は全部で13基あり、そのうち12基は正面に四畳半ほどの舞台を備えていて、毎年4基ずつ交代で「出番山(でばんやま)」として登場します。
この舞台で演じられるのが子ども歌舞伎です。役者は曳山を持つ町(山組=やまぐみ)の5歳から12歳くらいの男の子たちで、長浜では歌舞伎のことを「狂言(きょうげん)」や「芸」と呼びます。普通の歌舞伎と同じように、勇ましい男性役の「立役(たちやく)」と、女性を演じる「女方(おんながた)」があります。
演目は毎年新しく、子ども向け・小さな舞台向けに作り直され、長浜独自の題名が付けられます。上演時間は約40分です。子どもたちは3月下旬の春休みから祭り当日まで約3週間、振付師の指導で台詞の読み習いや立ち稽古を重ね、最後に浄瑠璃の語り手(太夫)や三味線と合わせて本番に臨みます。
9日間の主な行事
4月9日の「線香番(せんこうばん)」は、祭りの役員が各山組の稽古場を回って上演時間を計る行事です。昔は線香が燃える時間で計ったことからこの名があります。9日から12日にかけては各出番山の稽古が公開されるほか、子どもたちの世話役である若衆(わかしゅう)が長浜八幡宮と豊国神社へお参りする「裸参り」が行われます。
13日は早朝から13基すべての曳山の関係者が長浜八幡宮へ御幣(ごへい)を迎えに行き、午後には上演の順番を決める「くじ取り式」があります。夕方には、各町内の路上に曳き出された曳山の上で、衣装と化粧を整えた子ども役者が初めて本番の歌舞伎を演じます。14日は午前に町内で上演した後、曳山が長浜八幡宮へ集まり、夜には衣装姿の子ども役者が若衆に付き添われて町を練り歩く「夕渡り(ゆうわたり)」があります。
15日は、豊臣秀吉ゆかりと伝わる武者行列「太刀渡り(たちわたり)」の後、くじで決まった順番に4基の曳山で歌舞伎が奉納されます。最初の曳山(壱番山)では、まず「三番叟(さんばそう)」というおめでたい舞が演じられます。日が暮れて曳山に提灯がともると、曳山は御旅所から各町内へ戻っていきます。16日は町内で何度か上演して千秋楽を迎え、17日に御幣を神社へ返して祭りが終わります。
秀吉の城下町から始まった歴史
長浜の町は、のちに天下を統一する羽柴(豊臣)秀吉が、1574年頃に長浜城とともに築いた城下町です。言い伝えによると、秀吉に男の子が生まれたお祝いに町の人々へ砂金がふるまわれ、それをもとに各町が曳山を造って八幡宮の祭りで曳き回したのが始まりとされています。
1742年の台本や1769年以降の演目の記録から、江戸時代の中頃にはすでに曳山の上で子どもの歌舞伎が演じられていたことがわかっています。長浜の町の人々は、当時流行していた歌舞伎をいち早く取り入れ、町を動く芝居小屋に仕立てたのです。
戦争中の1937年に曳山の巡行は途絶えましたが、1950年に曳山巡行と子ども歌舞伎が復活し、このころから「長浜曳山まつり」と呼ばれるようになりました。近年では、2020年に新型コロナウイルスの影響で中止され、2021年は長浜八幡宮への曳山巡行を取りやめるなど規模を縮小し、動画のライブ配信も取り入れて開かれました。曳山の中には、16世紀にベルギーのブリュッセルで織られたタペストリーを飾りに使っているものもあります。
見物のポイント
子ども歌舞伎をじっくり見たいなら、13日の夕方、14日の午前、16日に各町内で行われる「自町狂言(じちょうきょうげん)」も狙い目です。15日は長浜八幡宮から参道、御旅所へと会場が移りながら、朝から夜まで上演が続きます。上演の詳しい時間と場所は、例年3月中旬頃に公表されます。
15日は天気が悪いと曳山にカバーが掛けられることもあります。2026年の本日も曇り空でカバーが掛けられたまま上演されましたが、子ども役者の熱演に観客から温かい拍手が送られました。14日夜の夕渡りでは、子ども役者が道々で見得(みえ。歌舞伎で役者が動きを止めて決めるポーズ)を切り、沿道から拍手が送られます。
祭りの時期以外に長浜を訪れても、JR長浜駅から歩いて行ける長浜市曳山博物館で、祭りに出る本物の曳山を見ることができます。博物館はJR長浜駅から徒歩約7分です。14日・15日は博物館周辺で交通規制が行われるため、車より電車で行くのが便利です。
ヒント
- いちばんの見どころは4月15日の「本日」。長浜八幡宮での奉納から御旅所での上演まで、4基すべての曳山と歌舞伎を見られます。
- 15日以外にも、各町内の路上で13日夕方・14日午前・16日に上演があります。曳山の近くで見られる機会です。
- 4月9日〜12日は稽古が公開されます。本番前の子どもたちの成長ぶりを見られるのも、この祭りならではの楽しみです。
- 14日夜の「夕渡り」では、衣装姿の子ども役者が長浜八幡宮から曳山博物館の近くまで歩き、道々で見得を切ります。
- 4月以外に訪れるなら、長浜市曳山博物館で本物の曳山を見学できます。祭り当日の様子は博物館がYouTubeで配信したこともあります。
出典
- 長浜市曳山博物館「長浜曳山祭について」 (新しいタブで開きます)
- 長浜市曳山博物館「子ども歌舞伎について」 (新しいタブで開きます)
- 長浜市曳山博物館「長浜曳山まつりの行事」 (新しいタブで開きます)
- 長浜市曳山博物館「過去の祭りの記録」(年表) (新しいタブで開きます)
- 長浜・米原・奥びわ湖観光サイト「長浜曳山まつり 子ども歌舞伎(4月13日~16日)」 (新しいタブで開きます)
- 長浜市曳山博物館「令和8年度 奉納狂言のくじ順が決定しました。」 (新しいタブで開きます)
- 長浜市曳山博物館「令和7年度 奉納狂言のくじ順が決定しました。」 (新しいタブで開きます)
- 長浜市曳山博物館「令和6年度 奉納狂言のくじ順が決定しました」 (新しいタブで開きます)
- 長浜市曳山博物館「2026長浜曳山まつりの様子をYouTubeで生配信します。」 (新しいタブで開きます)
- 長浜市曳山博物館「交通規制のお知らせ【令和8年4月14日・15日】」 (新しいタブで開きます)
- 毎日新聞「長浜曳山まつり 『本日』迎え、子ども役者が歌舞伎熱演 滋賀」(2026年4月15日) (新しいタブで開きます)
- Wikipedia「長浜曳山祭」 (新しいタブで開きます)
- 長浜経済新聞「2年ぶり『長浜曳山まつり』 規模縮小や動画配信で密避け開催」(2021年4月) (新しいタブで開きます)
- 中日新聞「長浜曳山祭の子ども歌舞伎、今年は絵で楽しんで コロナで中止」(2020年6月) (新しいタブで開きます)