祭り · 2月

横手のかまくら

雪で作った小さな部屋に水の神様をまつり、子どもたちが「はいってたんせ」と旅人を招き入れる。秋田県横手市で約450年続くといわれる冬の夜の行事です。

Two lit snow huts (kamakura) at night in Yokote Park, with the illuminated Yokote Castle keep behind them
Photo: Rarisan (新しいタブで開きます), CC BY-SA 4.0 (新しいタブで開きます), via Wikimedia Commons
開催地

秋田県

  • 秋田県横手市の市役所本庁舎前、横手公園、二葉町など市内各所(ミニかまくらは蛇の崎川原)

最近の開催

年日程来場者数備考
20272月12日・13日(予定)—横手市が発表済み。2026年から試験的に導入された「2月の第2金曜日・土曜日」開催の2年目です。
20262月13日・14日—長く続いた2月15日・16日の固定日開催をやめ、初めて金曜日・土曜日に開催されました(2029年までの試験的な変更)。
20252月15日・16日24万人(2日間)市役所本庁舎前や横手公園などに計約60基のかまくらが作られました。来場者は前年から7万人増えたと報じられています。
20242月15日・16日—暖冬で雪が足りず、東成瀬村の山間部など市外から雪を運んで約50基を設置。開幕日も雨が降り、かまくらにブルーシートをかける異例の開催になりました。
20232月15日・16日—新型コロナの影響で観光客向けの行事を見送った2021・2022年を経て、3年ぶりに観光客を受け入れて開催。かまくらは例年の半分ほどの約40基で、市役所本庁舎前と横手公園の2会場を中心に行われ、子どもたちによる甘酒や餅のふるまいは見送られました。

いつ、どこで開かれる?

横手のかまくらは、秋田県南部の横手市で毎年2月中旬の夜に開かれる小正月(こしょうがつ。旧暦の1月15日前後に行われてきた、正月を締めくくる行事の時期)の伝統行事です。会場は横手市役所本庁舎前や横手公園、二葉町など市内各所で、期間中は市内に60基ほどのかまくらが作られます。

長いあいだ毎年2月15日・16日の固定日に開かれてきましたが、運営を支える市民の負担を減らし、より多くの人に来てもらうため、2026年から2029年までは試験的に「2月の第2金曜日と土曜日」の2日間に変わりました。横手市の公式サイトによると、次回2027年は2月12日(金)・13日(土)の開催です。

かまくらは、同じ時期に行われる「ぼんでん(梵天)」や雪像展示とあわせて「横手の雪まつり」と呼ばれています。ぼんでんは神事のため日付が固定されていて、2026年は2月16日にコンクール、17日に旭岡山神社(あさひおかやまじんじゃ)への奉納が行われました。

かまくらの中で何が起きている?

かまくらは、雪を積み固めて中をくりぬいた、人が入れる大きさの雪の部屋です。正面の奥には神棚が作られ、水の神様である水神様(すいじんさま)がまつられています。もともとは、この水神様にお賽銭(おさいせん。神様に供える小銭)を上げて、家族の安全や商売繁盛、豊作を祈る行事でした。

かまくらの中には地元の子どもたちが座っていて、「はいってたんせ(かまくらに入ってください)」「おがんでたんせ(水神様をおがんでください)」と声をかけ、あまえこ(甘酒)やお餅をふるまってくれます。日が暮れるとかまくらの中に明かりがともり、雪の町が幻想的な雰囲気に包まれます。

横手市によると、観光協会が指導するかまくらは、直径約3.5メートルの円の中に雪を踏み固めながら高さ3メートルほどまで積み上げ、壁の厚さを50センチほど残して中を掘り出して作ります。行事が終わると、安全のために数日のうちに重機で取り壊されます。

武士の町と商人の町、2つのルーツ

横手のかまくらは、約450年の歴史があるといわれています。江戸時代、武士が住む「内町(うちまち)」では、旧暦1月14日の夜に四角い雪の壁を作り、中に門松やしめ縄を入れて燃やし、災いよけと子どもの成長を祈りました。一方、商人が住む「外町(とまち)」では、旧暦1月15日の夜に井戸のそばに雪穴を作り、よい水に恵まれるよう水神様に祈りました。

こうした風習に、積もった雪に穴を掘って遊ぶ子どもたちの遊びが混ざり合い、今の水神様をまつるかまくらになったと伝えられています。「かまくら」という名前の由来には、形がかまどに似ているから、神様の座る場所「神座(かみくら)」から、など複数の説があり、どれが正しいかは分かっていません。

1936年(昭和11年)には、ドイツの建築家ブルーノ・タウトが横手でかまくらを見て、その美しさを著書の中で絶賛しました。現在の丸い屋根の形は、1959年(昭和34年)に作られた「モデルかまくら」がもとになっています。車の通行が増えるにつれて道路にかまくらを作りにくくなり、1971年(昭和46年)頃からは、小さな「ミニかまくら」を町じゅうに作る運動も広がりました。

かまくら以外の見どころ

横手川沿いの蛇の崎川原(じゃのさきかわら)には、明かりを入れたミニかまくらがたくさん並び、幻想的な光景を作り出します。市内の雄物川町(おものがわまち)にある古民家が並ぶ民家苑「木戸五郎兵衛村(きどごろべえむら)」では、古民家を背景にかまくらを撮影できる撮影会も行われています。

祭りの時期に行けなくても、市役所本庁舎と同じ中央町にある「かまくら館」では、室温を常にマイナス10度ほどに保った部屋で、横手の雪で作った本物のかまくらを1年中見ることができます。ただし、作り替えのため夏と2月に1週間ほど展示室に入れない期間があるので、事前に観光協会の案内を確認しましょう。

混雑と見学のコツ

NHKの報道によると、2025年は2日間で24万人が訪れました。主な会場は市役所本庁舎前と横手公園で、かまくらに明かりがともるのは日没後です。

かまくらの中は子どもたちが迎えてくれる場所であり、水神様をまつる祈りの場でもあります。中に入ったら、神棚の水神様に手を合わせましょう。雪の上を長く歩くことになるので、滑りにくい靴と手袋や帽子などの防寒具があると安心です。

ヒント

  • 次回2027年は2月12日(金)・13日(土)の開催です。2026年から2029年までは「2月の第2金曜日・土曜日」と覚えておくと便利です。
  • かまくらに明かりがともるのは日が暮れてから。昼に町を歩き、夜にもう一度会場を回ると雰囲気の違いを楽しめます。
  • かまくらの中で子どもたちに声をかけられたら、水神様に手を合わせ、お賽銭を上げていきましょう。もともとはお賽銭を上げて願いごとをする行事です。
  • 写真を撮りたい人は、ミニかまくらが並ぶ蛇の崎川原や、古民家を背景にできる木戸五郎兵衛村の撮影会もチェックしてみましょう。
  • 祭りの時期以外に訪れるなら、1年中かまくらを見られる「かまくら館」へ。横手市観光協会の売店もあり、横手やきそばなどの名物も扱っています。

出典

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