日本の食べもの · その他

納豆

強い香りに、箸を上げると伸びる長い糸。好き嫌いがはっきり分かれる納豆は、なぜ東日本で特に愛されてきたのでしょうか。食べ方のコツと一緒に紹介します。

Chopsticks lifting stirred natto from a bowl, with long sticky strings stretching between the beans
Photo: Kinchan1 (新しいタブで開きます), CC BY 2.0 (新しいタブで開きます), via Wikimedia Commons
ゆかりの地域

全国で食べられている料理

本場として知られるのは 茨城県・秋田県・山形県。

  • 茨城県水戸市が有名な産地で、小粒の「水戸納豆」が名物。割り干し大根とあえる「そぼろ納豆」も伝わる
  • 秋田県横手市に発祥の言い伝えと記念碑がある。県南内陸部ではお正月にすりつぶした納豆を入れた納豆汁を食べる
  • 山形県冬の郷土料理「納豆汁」が県内全域で食べられる。米沢地方には麹と塩で熟成させる「五斗納豆」がある

納豆とはどんな食べもの?

納豆は、煮た大豆を納豆菌(なっとうきん:枯草菌の一種)で発酵させた日本の伝統食品です。工場では、蒸し煮にした大豆に納豆菌をつけて容器に詰め、40度ほどの発酵室で約20時間かけて発酵させます。このあいだに、かき混ぜると糸を引くネバネバと、独特の香りが生まれます。

ネバネバの正体は、納豆菌が大豆のたんぱく質から作るポリグルタミン酸と、フラクタンという糖の一種です。香りも納豆菌が作り出すもので、作ってから日がたつほど少しずつ強くなります。強い香りと粘りがあるため、慣れるまで時間がかかる食べものとしても知られています。

一般に「納豆」と言えば、この糸を引く「糸引き納豆」を指します。ほかに、麹(こうじ:米や麦などにカビの一種を育てたもの)を使って作る、糸を引かない黒っぽい「寺納豆(塩辛納豆)」もあります。また、店でよく見かける「甘納豆」は豆を砂糖で煮詰めたお菓子で、発酵食品の納豆とはまったく別物です。

いつ、どこで生まれた?はっきりしない起源と言い伝え

日本人がいつから納豆を食べ始めたのかは、はっきりわかっていません。縄文時代の終わりごろには納豆のようなものがあったという説があります。稲わら1本には約1,000万個もの納豆菌が付いているとされ、昔の人がわらで煮豆を包んで保存しているうちに、偶然発酵したのではないかと考えられています。

各地には発祥の言い伝えも残っています。秋田県横手市には、平安時代の武将・源義家(みなもとのよしいえ)の軍に農民がわらで包んだ煮豆を届けたところ、数日たって糸を引く豆になり、食べてみるとおいしかった、という話が伝わり、記念碑も建てられています。茨城県水戸市にも、源義家がわらで包んだ煮豆を気に入ったという似た言い伝えがあります。どちらも史実として確かめられた話ではありません。

「納豆」という名前の由来にも諸説あります。寺の台所を意味する「納所(なっしょ)」で作られた豆だから、という説がよく知られています。

なぜ東日本で人気?水戸納豆と地域の食べ方

全国納豆協同組合連合会によると、納豆をよく食べるのは東京、茨城、福島、宮城など関東から北の地域で、西日本ではあまり食べられてきませんでした。雪が深く寒い地域では、魚や野菜に代わる手軽なたんぱく源として作られてきた一方、温暖で魚が手に入りやすい西日本には納豆を作る習慣がなかったためと考えられています。江戸時代の記録には、江戸では毎朝のように納豆売りが来たのに対し、京都や大坂では家で作るだけで売り物はあまり見かけない、と書かれています。

納豆の産地としてとくに有名なのが茨城県水戸市です。水戸では川の氾濫に備えて水害に強い小粒の大豆が育てられてきたため、水戸の納豆は小粒が特徴です。水戸納豆の名前が広まったのは意外に新しく明治時代のことで、鉄道が通ったあと、水戸駅でおみやげとして売られて人気になりました。茨城県には今も家で納豆を手作りする人がいて、水戸市周辺には納豆と割り干し大根(細く切って干した大根)をあえた「そぼろ納豆(しょぼろ納豆)」という保存食も伝わっています。

東北地方では、すりつぶした納豆を味噌汁に溶かし込む「納豆汁(なっとうじる)」が冬の郷土料理です。山形県では体を温める冬の汁物として県内全域で食べられ、秋田県の県南内陸部ではお正月に大鍋で作って三が日のあいだ温め直して食べる習慣があります。また、大豆を砕いて皮を取ってから作る「挽き割り納豆」は青森・秋田・岩手などで古くから作られ、山形県米沢地方には挽き割り納豆に麹と塩を混ぜて熟成させる「五斗納豆(ごとなっとう)」があります。

どうやって食べる?

店で売られている納豆には、たれとからし(日本の辛子)が付いているのが一般的です。箸でよくかき混ぜて糸を引かせ、たれやからしを加えて、ご飯にのせて食べるのが定番です。朝ごはんのおかずとしてよく知られていますが、全国納豆協同組合連合会の2005年の調査では、夕食に食べる人の割合(61.9%)のほうが朝食(46.3%)より高くなっていました。

同じ調査で多かった薬味は、付属のたれ、ねぎ、からしの順でした。生卵や大根おろしを合わせる人もいます。家庭でよく作る納豆料理としては、納豆を海苔で巻いた「納豆巻き」、納豆汁、刻んだイカとあえた「イカ納豆」などが挙がっています。

食事制限のある方へ:納豆の原料は大豆です。大豆アレルギーのある方は避けてください。付属のたれの材料は商品によって違うので、気になる場合は表示を確認しましょう。

どこで食べられる?

納豆は全国の店頭で手軽に買える、ごく日常的な食べものです。本場の雰囲気を味わうなら茨城県水戸市へ。水戸の有名な納豆店で売られている「そぼろ納豆」は、おみやげとして観光客に人気があります。冬に東北を旅するなら、山形県や秋田県で納豆汁を探してみてください。山形県では旅館や飲食店、学校給食でも出され、秋田県大仙市の大曲では、納豆汁を出す認定店の取り組みも行われています。

ヒント

  • 食べる前に、箸でよくかき混ぜて糸を引かせるのが基本です。
  • 初めてなら、付属のたれとからしを入れてご飯にのせる、いちばん定番の食べ方から試してみましょう。ねぎや生卵を加える人も多くいます。
  • 「甘納豆」はお菓子で、発酵食品の納豆とは別物です。買うときに間違えないように。
  • 納豆は、買ってから1〜2日ほどがいちばんおいしいとされています。古くなると白い粒(アミノ酸の結晶)が出ることがありますが、食べても問題はありません。
  • 冬に山形県や秋田県を訪れたら、すりつぶした納豆を溶かした郷土料理「納豆汁」を試してみてください。

出典

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