日本の食べもの · 肉料理

とんかつ

西洋のカツレツが、ご飯と味噌汁、千切りキャベツと一緒に食べる日本の定食に。名古屋では味噌だれ、桐生ではソースにくぐらせる、とんかつの多彩な姿を紹介します。

Sliced tonkatsu showing pink pork inside a golden crust, served with a mound of shredded cabbage
Photo: ayustety from Tokyo, Japan (新しいタブで開きます), CC BY-SA 2.0 (新しいタブで開きます), via Wikimedia Commons
ゆかりの地域

全国で食べられている料理

本場として知られるのは 東京都・愛知県・群馬県・岡山県。

  • 東京都明治から昭和初期にかけて、東京の洋食店でカツレツが厚切りの「とんかつ」へと変わっていったとされる
  • 愛知県名古屋市の「味噌カツ」。豆味噌ベースのたれをかける店と、たれの鍋に浸す店がある
  • 群馬県揚げたてのカツをソースにくぐらせる「ソースカツ丼」。桐生市ではカツ丼といえばこれ
  • 岡山県岡山市の「デミカツ丼」。とんかつにデミグラスソースをかけ、県内約30店で提供

とんかつとはどんな料理?

とんかつは、厚めに切った豚肉に小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣を付け、たっぷりの油で揚げた料理です。背中側の「ロース」を使ったものをロースカツ、「ヒレ」(腰の内側の細長い部位)を使ったものをヒレカツと呼び、どちらかを選べる店が多くあります。

名前は、豚を音読みした「とん」と、英語の cutlet(カツレツ)を略した「カツ」を組み合わせたものです。漢字で書けば「豚カツ」ですが、実際には「とんかつ」や「トンカツ」と書くのが一般的です。NHK放送文化研究所の調査でも、「とんかつ」「トンカツ」を使う人がそれぞれ約8割だったのに対し、「豚カツ」は3割ほどでした。

専門店では、とんかつをご飯、味噌汁、漬物とセットにした「定食」の形で出すことが多く、皿には千切りのキャベツが添えられます。とんかつソース(とろみのある甘めのソース)や辛子をつけて食べます。

洋食から「和食」へ:とんかつの歴史

日本で肉が広く食べられるようになったのは明治時代になってからです。明治の初めの西洋料理には、オムレツやビーフステーキ、カツレツなどがありましたが、なかでも日本人向けに大きくアレンジされた代表がカレーとポークカツレツ(とんかつ)だと、全日本カレー工業協同組合は紹介しています。

もとの西洋のカツレツは、薄い肉を少ない油で焼くように揚げる料理でした。それが、天ぷらのようにたっぷりの油で厚い肉を揚げ、切り分けて箸で食べられるようにし、ご飯と味噌汁と一緒に出す形へと変わっていきます。東京の洋食店が明治の後半から昭和の初めにかけて工夫を重ねたといわれますが、どの店が最初かについては諸説あり、特定はできません。「トンカツ」という言葉は、1914年の高村光太郎の詩集『道程』に早い例が見られます。

味噌カツ、ソースカツ丼、デミカツ丼:地域のとんかつ

愛知県名古屋市の「味噌カツ」は、豆味噌(大豆だけで作る色の濃い味噌)をベースにしたたれをかけたとんかつで、「なごやめし」(名古屋独特の料理)の代表です。たれは味噌をそのまま使うのではなく、ほかの調味料と合わせて店ごとに味を工夫しています。カツの上からたれをかける店と、たれを張った鍋にカツを浸す店に大きく分かれます。

群馬県では、揚げたてのカツをソースにくぐらせてご飯にのせる「ソースカツ丼」が親しまれています。桐生市では「カツ丼」といえば、卵でとじたカツ丼ではなくソースカツ丼を指すほどです。織物業が盛んだった桐生では、冷めてもおいしいことから出前でよく注文されていました。

岡山県岡山市には、ご飯の上にキャベツを敷き、揚げたてのとんかつにデミグラスソース(洋食で使う濃い茶色のソース)をかけた「デミカツ丼」があります。グリーンピースや生卵を添える店もあり、岡山市を中心に県内の約30店で食べられます。

カツ丼、カツカレー、カツサンド:とんかつから生まれた料理

とんかつは、さらに別の料理にも姿を変えています。とんかつとたまねぎを甘辛い汁で煮て卵でとじ、丼のご飯にのせたのが「カツ丼」です。カレーライスにとんかつをのせた「カツカレー」は1918年に生まれたとされ、大学の学生食堂の定番になりました。ソースで味付けしたとんかつをパンにはさんだ「カツサンド」も人気があります。

どこで、どう食べる?

とんかつは日本全国で食べられます。とんかつ専門店のほか、洋食店や定食屋、デパートの食堂、弁当店やコンビニの弁当にもよく登場します。専門店ではまずロースかヒレかを選び、定食として注文するのが一般的です。

食事制限のある方へ:とんかつは豚肉を使い、衣には小麦粉と卵が使われています。ソースの材料は店によって違うので、豚肉や小麦、卵を避けたい方は注文前に確認してください。

ヒント

  • 専門店ではまず「ロース」か「ヒレ」かを選びます。両方を頼んで食べ比べるのも楽しみ方の一つです。
  • 名古屋では、たれをかけるタイプと鍋で浸すタイプ、店ごとに違う味噌カツを比べてみましょう。
  • 群馬県桐生市で「カツ丼」を頼むと、卵とじではなくソースカツ丼が出てくることがあります。
  • 岡山では、デミグラスソースをかけたデミカツ丼を。呼び方は「デミカツ」「ドミカツ」などさまざまです。
  • 豚肉、小麦、卵を避けたい場合は、注文前に材料を確認してください。

出典

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