日本の食べもの · 肉料理

焼き鳥

鶏肉の串焼き……のはずが、北海道の室蘭や埼玉の東松山では「やきとり」を頼むと豚肉が出てきます。屋台から始まった日本の焼き鳥の奥深さを紹介します。

A row of assorted yakitori skewers, including chicken, offal and meatballs, on a white plate
Photo: N509FZ (新しいタブで開きます), CC BY-SA 4.0 (新しいタブで開きます), via Wikimedia Commons
ゆかりの地域

全国で食べられている料理

本場として知られるのは 北海道・埼玉県・愛媛県。

  • 北海道室蘭市は豚肉とたまねぎを洋がらしで食べる「室蘭やきとり」、美唄市は内臓と皮をたまねぎと刺す「美唄やきとり」
  • 埼玉県東松山市は豚のカシラ肉を辛味噌だれで食べる「やきとり」の街。市内の約50軒で提供
  • 愛媛県今治市は「日本7大やきとりの街」の一つ。串に刺さず鉄板で焼く焼き鳥が広く食べられている

焼き鳥とはどんな料理?

焼き鳥は、一口大に切った鶏肉を竹の串に刺し、火であぶって焼いた料理です。味付けは大きく2種類あり、塩をふって焼く「塩」と、醤油・みりん・酒・砂糖などで作った甘辛いたれを付けて焼く「たれ」から選べる店が多くあります。食べるときは好みで七味唐辛子(7種の香辛料を混ぜた唐辛子)や粉山椒をかけます。

使う部位はさまざまで、もも肉と長ねぎを交互に刺した「ねぎま」のほか、皮、レバー、ハツ(心臓)、砂肝(砂嚢)など内臓の串もあります。焼き鳥屋では鶏以外に、豚肉や野菜の串焼きを出すことも多く、豚の内臓を焼いたものは「やきとん」と呼ばれます。炭火、なかでも高価な備長炭(びんちょうたん)で焼くことにこだわる店も多くあります。

神社の参道から駅前の赤ちょうちんへ:焼き鳥の歴史

鳥を串に刺して焼く料理は古くからあり、江戸時代初期の料理書には、塩をふって焼き、醤油に酒を加えたたれを付けて仕上げる焼き鳥の作り方が書かれています。全国やきとり連絡協議会によると、江戸時代には神社の参道で、田畑を荒らす雀などを焼いた焼き鳥が名物として売られていました。

明治時代の半ばには、東京の夜の街に焼き鳥の屋台が並ぶようになります。1893年に出版されたルポルタージュには、鶏料理店から出る内臓を蒲焼のように焼いた串が、人力車の車夫たちの栄養源として安く売られていた様子が書かれています。1923年の関東大震災の後には屋台が増え、豚の内臓を使った「焼とん」も人気を集めました。

戦後は闇市にも焼き鳥の屋台が現れ、やがて屋台から店舗へと移っていきます。昭和30年代(1955〜64年)に食肉用のブロイラー(短期間で育つ鶏)が普及して鶏肉が安くなると、焼き鳥は誰もが気軽に食べられるものになりました。駅の近くには、会社帰りの人が立ち寄る焼き鳥屋が目立つようになります。

「やきとり」なのに豚肉? 地域ごとの焼き鳥

農林水産省によると、北海道の美唄(びばい)市・室蘭市、福島県福島市、埼玉県東松山市、愛媛県今治市、山口県長門市、福岡県久留米市は「日本7大やきとりの街」と呼ばれています。同じ「やきとり」でも、中身は街によって大きく違います。

埼玉県東松山市の「やきとり」は、豚のこめかみから頬にかけての「カシラ肉」と長ねぎを交互に刺し、炭火で焼いて塩で仕上げます。そこに、白味噌に唐辛子やにんにく、果物のすりおろしなどを合わせた辛味噌だれを付けて食べるのが特徴で、たれの味は店ごとに違います。東松山駅周辺を中心に、市内の約50軒で食べられます。

北海道の室蘭市でも、「やきとり」は豚肉(主に肩ロース)とたまねぎを交互に刺した串焼きです。甘めのたれで焼き、洋がらしを付けて食べます。室蘭を含む北海道南部では、メニューに「やきとり」とあれば豚肉が出てくるのが普通で、鶏肉と区別するために豚は「豚精(ぶたせい)」、鶏は「鶏精(とりせい)」と書く店も多くあります。同じ北海道の美唄市の「美唄やきとり」は、鶏のさまざまな内臓や皮とたまねぎを1本の串に刺して塩こしょうで焼くもので、炭鉱で働く人たちに好まれました。地元では、締めに注文したかけそばに焼き鳥を入れて食べるのが美唄流といわれています。

愛媛県今治市では、串に刺さずに鉄板の上で焼く「焼き鳥」が広く食べられています。

注文のしかたと食べ方

焼き鳥は、焼き鳥専門店や居酒屋で注文できます。部位ごとに「塩」か「たれ」かを選べる店が多い(部位や店によってはどちらか一方だけ)ので、迷ったら店の人におすすめを聞いてみましょう。祭りの屋台、スーパーの総菜売り場、コンビニでも売られていて、持ち帰り用に買うこともできます。

串から外して食べるべきか、串のまま食べるべきかは意見が分かれます。マナーの本には一口ずつ串から外して食べるよう書かれているものがある一方、店は串の上から順に食べることを前提に焼いているので、外すと熱と肉汁が逃げるという意見もあります。仲間とシェアするときは外し、1人で食べるなら串のままでも問題ありません。

食事制限のある方へ:焼き鳥には内臓の串も多く、地域によっては「やきとり」が豚肉を指します。たれには醤油やみりん、酒が使われています。豚肉を避けたい方は、特に北海道南部や東松山市では注文前に何の肉かを確認してください。

ヒント

  • まずは「ねぎま」を塩とたれの両方で頼んで、味の違いを比べてみるのがおすすめです。
  • 室蘭では、洋がらしを付けて食べる豚肉とたまねぎの「やきとり」を。東松山では、店ごとに違う辛味噌だれを味わってみましょう。
  • 美唄では、締めのかけそばに焼き鳥を入れる地元流の食べ方があります。
  • 串から外すかどうかは好みで構いません。シェアするときは箸で外すと取り分けやすくなります。
  • 豚肉を避けたい場合は、地域によって「やきとり」が豚肉を指すことがあるので、注文前に確認しましょう。

出典

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