関東 地方

埼玉県

東京の北の端の先にある埼玉県は、にぎやかな鉄道の拠点や古い商家の町並みから、茶畑、川の渓谷、秩父の山々へと移り変わります。

A flower field at Hitsujiyama Park with Mount Buko rising in the background
Photo: mxmstryo, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

関東平野から秩父の山々へ

埼玉には海岸線がありません。県の多くは関東平野にありますが、西へ行くにつれて丘陵を経て、森に覆われた秩父山地へと高まっていきます。荒川と利根川が低地を形づくっており、そこでは水路、農地、住宅地が隣り合っています。こうした地形のゆるやかな変化は県の個性の一部です。西へ向かう旅は、都市の駅から茶を育てる丘陵、そして山あいの盆地へとあなたを連れて行ってくれます。

長瀞では、西部の景観を存分に味わえます。ここでは荒川が、畳(床に敷くマット)に似ていることから名付けられた岩畳という岩の地形のそばを流れています。岩の上から川を見下ろしたり、穏やかな流れと時折の急流を進む舟から峡谷を眺めたりできます。秩父はまた違ったペースで、森に覆われた山肌と、34の寺を結ぶ巡礼路があります。

古墳と商家の町並み

埼玉の過去は、東京への通勤路線が思わせるよりもずっと古くまでさかのぼります。行田のさきたま古墳群(古代の墓)は、何世紀も前にここに住んでいた人々の権力を示しています。そのうちの1基からは銘文の入った鉄剣が出土しており、歴史家が東日本の初期の支配者を理解する手がかりとなっています。行田には後の時代の工芸の歴史もあり、その工房では伝統的な先の割れた靴下であり履物でもある足袋が作られていました。

川越は別の章を物語ります。「小さな江戸」を意味する小江戸として知られ、交易の中心地として発展し、土壁の商家の蔵である蔵造りの町並みが残っています。時の鐘の鐘楼や近くの菓子店は散策の理由になりますが、建物は単なる時代の背景ではありません。この地域と、現在の東京である江戸を結んでいた商業のつながりや街道を思い起こさせてくれます。

麺、せんべい、お茶

埼玉の食は町ごとに変わります。小麦の産地では、太い小麦の麺であるうどんがさまざまに発展してきました。加須には長い麺づくりの伝統があり、深谷の煮ぼうとうは、地元のネギを含む野菜と一緒に幅広の麺を煮込んだ体の温まる料理です。鴻巣の川幅うどんは「川の幅の麺」という意味です。その並外れて幅の広い麺は、近くにある荒川の広い河川敷にちなんでいます。

持ち帰るものなら、草加ゆかりのパリッとした米のせんべい、草加せんべいや、川越のさつまいもを使ったお菓子を探してみてください。狭山茶は県の西部で作られており、川越近くの丘陵の周りには茶畑が広がっています。その濃い味わいは、この地域の比較的寒い冬と関係しているとされています。これらの食べ物は、埼玉を知るのに役立つ地図になります。川、畑、地元の工房が、それぞれ人々が作るものに足跡を残しています。

手仕事と、皆でつくる祭り

埼玉の地元の伝統は、ひとつの古い町に集中しているわけではありません。岩槻では、県東部と結びついた工芸である人形づくりに職人たちが取り組んでいます。秩父は、秩父銘仙と呼ばれる柄物の絹織物で知られています。どちらも、お祝いの際に飾ったり身につけたりするものが、地元の専門的な技術から始まっていることを思い出させてくれます。

秩父夜祭は、地域の誇りを躍動させます。12月初旬、住民たちが太鼓と笛の音に合わせて6基の飾られた山車を引いて通りを進み、行列は難所の坂の引き上げと冬の花火で最高潮を迎えます。山車はそれぞれ異なる町会に属しているので、これは単に旅行者向けに用意された見世物ではありません。川越の古い町並み、行田の履物の工芸、秩父の祭りは、いずれも地域社会が自らの歴史を目に見える形で守り続けていることを示しています。

季節ごとの趣

春はさまざまな形で埼玉に広がります。桜が人々を公園に誘い、秩父の羊山公園は、英語でmoss phloxと呼ばれることが多い背の低い花、芝桜のピンク、紫、白のパッチワークになります。西部の茶畑の周りでは、桜の後に一番茶の収穫が始まります。耕作地がいかに町のすぐそばにあるかに気づくのによい季節です。

平野の夏は蒸し暑く、西部の川や山が魅力的な気分転換になります。行田の蓮の花は初夏から咲き、長瀞の川も季節の見どころです。秋には谷や丘陵が色づきます。冬は単に静かというより、乾燥して晴れ、風が強いことが多いです。秩父では、提灯に照らされた山車と花火が、暗くなってからも人々を外へ誘い出します。

アクセスと方面選び

ほとんどの旅行者は東京から電車で訪れます。大宮は埼玉の各地へ向かう主要な乗り換え駅で、西武鉄道の新宿からの路線は本川越へと続いています。池袋からは西武線が秩父方面へ向かいます。長瀞へは、秩父鉄道がこの川の町と熊谷や秩父エリアなどを結んでいます。

埼玉をひとつの目的地として扱うのではなく、地区ごとに計画を立てると便利です。川越は町並みやお店を歩いて巡るのに向いており、秩父と長瀞は西へのより長い旅になります。在来線が県の大部分をカバーしていますが、都市、農村、山の景観の間の距離こそが、1回きりではなく何度も訪れる価値がある理由なのです。

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