日本の食べもの · 鍋・煮込み

おでん

大根や卵、練り物をだしでじっくり煮込む冬の定番。コンビニのレジ横でも買えますが、つゆの色も具も、土地ごとに驚くほど違います。

A pot of oden with daikon radish, fried tofu, fish cakes and knotted kelp simmering in light broth
Photo: Froggieboy (新しいタブで開きます), CC BY-SA 4.0 (新しいタブで開きます), via Wikimedia Commons
ゆかりの地域

全国で食べられている料理

本場として知られるのは 東京都・静岡県・愛知県・兵庫県・青森県。

  • 東京都濃い口醤油とかつお節の色の濃いつゆ。小麦粉で作る「ちくわぶ」を入れるのが特徴
  • 静岡県静岡市の「静岡おでん」。黒はんぺんなどを串に刺して黒いつゆで煮込み、青のりとだし粉をかける
  • 愛知県豆味噌(八丁味噌など)のたれにつけて食べる「味噌おでん」
  • 兵庫県生姜醤油をつけて食べる「姫路おでん」
  • 青森県青森市周辺では、煮込んだおでんに生姜味噌のたれをつけて食べる

おでんとはどんな料理?

おでんは、かつお節と昆布でとっただし(うまみを引き出したスープ)に、醤油などで味をつけ、たくさんの具を入れて弱火で煮込む料理です。具のことは「タネ」と呼び、大根、ゆで卵、こんにゃく(芋から作るぷるぷるした食品)、さつま揚げやはんぺんなどの練り物(魚のすり身を加工したもの)が代表的です。

煮込み料理なので、秋から冬にかけて食べることが多く、寒くなるとスーパーにおでん用のタネのセットが並び、家庭ごとに好みの味で作ります。コンビニエンスストアでもレジの横におでんの鍋が置かれ、手軽に買うことができます。食べるときは好みでからし(日本の辛いマスタード)を添えます。

日本では2月22日が「おでんの日」とされています。熱いおでんを「ふーふーふー」と息で冷ます音にちなんだ記念日です。

焼き豆腐から煮込み料理へ:名前の由来と歴史

おでんのルーツは、長方形に切った豆腐を竹串に刺して焼いた「豆腐田楽(でんがく)」だとされています。名前は、宮中に仕えた女性たちが使った丁寧な言葉づかい(女房言葉)で、「田楽」に「お」をつけ、「楽」を省いて「おでん」になったと伝えられていますが、これは言い伝えとして紹介されているものです。

江戸時代には、豆腐やこんにゃくを串に刺して味噌を塗って焼く田楽が、庶民のおかずとして広まっていました。明治時代に入ると具の種類が増え、汁の多い煮込み料理としてのおでんが流行します。大正時代には関西にも広まり、各地の名産を使った地方色のあるおでんが生まれていきました。

関西では、もともとの田楽と区別するために、煮込んだおでんを「関東煮(かんとだき)」と呼ぶことがあります。

東京・静岡・名古屋:地域で変わるおでん

東京(関東)のおでんは、濃い口醤油とかつお節をきかせた色の濃いつゆが特徴です。はんぺん、牛すじ、つみれ(魚のすり身の団子)のほか、小麦粉に塩と水を加えて練り、棒状にした「ちくわぶ」を入れるのが東京らしさとされています。

静岡市の「静岡おでん」は、牛すじ、黒はんぺん(駿河湾でとれる魚のすり身で作る、色の黒いはんぺん)、大根、卵などのタネをすべて串に刺し、黒っぽいつゆで煮込みます。食べるときに青のり(乾燥した海藻の粉)と、魚の粉で作った「だし粉」をふりかけるのが特徴です。始まりは大正時代で、戦後に牛すじや豚のもつ(内臓)を使うようになって人気が高まったといわれます。駄菓子屋でも1本ずつ売られているため、子どもの頃からおやつ代わりに食べている人が多く、市の中心部にはおでんの店が集まる通りもあります。

愛知県の「味噌おでん」は、土鍋の真ん中に味噌だれを入れた壺を置き、周りで煮た大根やこんにゃく、焼き豆腐などを、その味噌だれにつけて食べるのが伝統的なスタイルです。たれは、愛知名物の八丁味噌に代表される豆味噌(大豆だけで作る濃い色の味噌)に、砂糖やみりんを加えたものです。最近は、豆味噌で仕立てたつゆで具を煮込む店も増えています。

まだある!各地のご当地おでん

関西では、薄い色のつゆの「関西風」と、かつお節と醤油で煮込む昔ながらの「関東煮」が大阪で共存しています。兵庫県の「姫路おでん」は、煮たおでんに生姜醤油をつけて食べます。青森市の周辺では、煮込んだおでんに生姜味噌のたれをつけます。

ほかにも、2種類のつけだれで食べる香川県の高松おでん、鶏のだしと九州の甘い醤油を使う九州のおでん、豚肉と麦味噌のつゆが特徴の鹿児島のおでん、豚足や青菜が入る沖縄のおでんなど、各地に個性的なおでんがあります。北海道では山菜や、つぶ貝・ほたてといった貝類が入ることもあります。旅先で地元のおでんを試してみると、同じ料理とは思えないほどの違いに気づくはずです。

どこで、どう食べる?

おでんは日本中で食べられます。冬になるとコンビニのレジ横に鍋が並ぶほか、おでん専門店や居酒屋(日本式の飲み屋)でも定番の料理です。東京には昔から続くおでん屋があり、一年中提供しています。静岡おでんを食べたいなら静岡市、味噌おでんなら愛知県というように、ご当地のおでんはその土地で味わうのがいちばんです。

食べ方に難しいルールはありません。好きなタネを選び、好みでからしをつけて食べます。静岡おでんなら青のりとだし粉を、愛知の味噌おでんなら味噌だれをつけるなど、地域ごとの食べ方に合わせてみましょう。

食事制限のある方へ:一般的なおでんのつゆには、かつお節(魚)のだしが使われ、練り物も魚から作られています。地域によっては牛すじや豚肉が入ったり、豚肉を使ったつゆもあります。ベジタリアンの方や特定の肉を避けたい方は、お店で確認してください。

ヒント

  • 初めてなら、大根、卵、こんにゃく、練り物など、いろいろな種類のタネを少しずつ選んでみましょう。
  • からしはとても辛いので、最初は少しだけつけて試してください。
  • 静岡市では、串に刺したおでんに青のりとだし粉をかけて食べてみましょう。
  • 名古屋など愛知県では、甘めの濃い味噌だれで食べる「味噌おでん」が楽しめます。
  • つゆには魚のだしが使われています。肉や魚を避けている場合は注文前に確認しましょう。

出典

続けて読む

ほかの食べもの