毛越寺
Motsuji Temple
かつて中尊寺をしのぐほどの大寺院だった平泉の寺。建物は失われても、平安時代の浄土庭園と大きな池が今もほぼそのまま残り、静かに四季を映しています。
黄金の平泉を支えた大寺院
毛越寺(もうつうじ)は、岩手県平泉町にある天台宗の寺で、世界遺産「平泉」を構成する場所のひとつです。寺伝では、850年に慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が開いたとされています。
平安時代の終わりに平泉で栄えた奥州藤原氏の2代目・基衡(もとひら)と3代目・秀衡(ひでひら)の時代に、多くの堂が建てられました。最盛期には堂や塔が40、僧が暮らす建物が500もあり、同じ平泉の中尊寺をしのぐ規模と華やかさだったと伝えられています。
藤原氏が滅んだあと、たび重なる災害で建物はすべて焼けてしまいました。それでも、池を中心とした浄土庭園と平安時代の建物の跡がほぼ完全な形で残っていて、国の特別史跡と特別名勝の両方に指定されています。
極楽浄土を地上に表した庭園
毛越寺の浄土庭園は、仏の世界を地上に表したものと伝えられています。庭の中心は「大泉が池(おおいずみがいけ)」で、東西約180m、南北約90mの広さがあり、つくられた当初の姿を今に伝えています。池の中央には勾玉(まがたま)の形をした中島があり、かつては橋が架かっていました。
池の東南の岸には、荒い磯を思わせる石組みが水の中へ突き出し、先端に約2mの石が立っています。庭のなかでも特に美しい眺めのひとつです。池の南西には、断崖の景色を表した築山(つきやま:人工の小山)があります。
池の北東には、池に水を引き入れる曲がりくねった水路「遣水(やりみず)」があります。平安時代の遣水の遺構としては唯一のもので、毎年新緑のころには、ここを舞台に、平安時代の雅な情景を再現する「曲水の宴(ごくすいのえん)」が開かれます。
季節の花と行き方
6月中旬から7月中旬には、300種3万株の花菖蒲(はなしょうぶ)が咲き、「あやめまつり」が開かれます。秋には萩まつりや紅葉まつりもあります。
境内には、1732年に再建された常行堂(じょうぎょうどう)や、平安時代の仏像や発掘品を展示する宝物館もあります。俳人・松尾芭蕉が平泉で詠んだ「夏草や兵どもが夢の跡」の句碑も、芭蕉自筆の文字で立っています。
JR東北本線の平泉駅から約0.7km、歩いて約7分です。平泉町内を回る巡回バス「るんるん」も利用できます。拝観時間と拝観料は公式サイトで確認してください。
ヒント
- 平泉観光協会が貸し出している音声ガイドペンは、英語を含む7か国語に対応しています。毛越寺の山門のほか、平泉駅前の観光案内所や中尊寺でも借りられ、別の場所で返せます。
- 4月中旬から11月初めまでは、山門前にガイドが常駐していて、約40分かけて境内を案内してもらえます(有料)。
- 境内の建物はほとんどが失われ、礎石(そせき:柱を支えた石)や土壇が残る「跡」が多い場所です。案内板を読んだり音声ガイドを使ったりすると、かつての姿を想像しやすくなります。
出典
更新日 2026年9月29日. 営業時間や料金は変わるため、出かける前に公式サイトで確認してください。