岩手県
岩手は山あいの町や田園から三陸海岸まで広がり、仏教の遺産、語り継がれる物語、そして麺類への旺盛な食欲があります。
岩手山から三陸海岸へ
岩手は日本の東北部にある広い県で、内陸と沿岸の風景はまったく違って感じられます。県庁所在地の盛岡は岩手山のふもと、北上川と中津川のほとりにあります。さらに西には奥羽山脈と、八幡平や花巻の温泉地があります。東では、三陸海岸が湾や入り江、漁師町を連ねながら太平洋と接しています。
宮古の近くにある浄土ヶ浜(その名は「浄土の浜」という意味)には、白っぽい小石の浜と穏やかな水面があります。さらに北の北山崎は、高い断崖と鋭い形の岩が続く海岸です。海はここでの暮らしの中心ですが、その危険もまた物語の一部です。岩手の沿岸は2011年の地震と津波に襲われました。三陸復興国立公園(「復興」とは再建を意味します)は地域の復興の一環として設立され、沿岸の慰霊碑や記念施設は、訪れる人に何が起きたのかを心に留めるよう呼びかけています。
平泉の庭園と遠野の物語
岩手県南部の平泉は、11世紀から12世紀にかけて権力の中心地でした。奥州藤原氏は、寺院、池、木々、そして金鶏山の眺めを配置して、浄土思想(安らかな仏の楽園に関わる仏教の伝統)を表現しました。中尊寺では、豪華に金箔が施された金色堂がその時代から残っています。毛越寺では、庭園を見ると水と景観の関係を思い描きやすくなります。平泉の世界遺産登録は、個々の建物だけを評価したものではありません。その周囲の環境もまた設計の一部なのです。
岩手には、民話で知られる山あいの地域、遠野にもう一つの種類の遺産があります。そこでの物語には、いたずら好きな水の生き物である河童が登場し、今も地元の暮らしの一部として語り継がれています。そのため、遠野を訪れるのは平泉を訪れるのとは違った感覚になります。一方は中世の支配者たちの構想を保存し、もう一方は人々の声と物語を今も巡らせ続けているのです。
麺、餅、そして手仕事の品々
盛岡の三大麺はそれぞれに個性があります。冷麺は冷たいスープで出される冷たい麺で、キムチが添えられることが多いです。じゃじゃ麺は、太い麺にひき肉と味噌のソースを絡めて食べます。わんこそばは、そば(蕎麦粉の麺)を小分けにして何度もおかわりする食事に変えたものです。前の一杯を食べ終えると、給仕の人が次の一杯を入れてくれます。この風習は、盛岡や花巻でかつて客をもてなした方法に由来しています。
一関や平泉の周辺では、もち米をついてつくる餅が、単なる甘いものではなく食事になることがあります。地元の食べ方では甘いものだけでなく塩味の添え物もあり、この地域の儀礼の食事にルーツを持つ伝統です。沿岸では、漁師町がウニやアワビなどの海の幸を食卓に届けています。
岩手の産品は台所や食卓にもなじみます。南部鉄器は盛岡や水沢地区でつくられる鋳鉄製品で、特に鉄瓶や急須が有名です。伝統的な漆器も、日用品に注がれる心配りのもう一つの例です。こうした工芸を食と合わせて見ると、岩手のアイデンティティの多くが、ただ飾られるものではなく、つくられ、供され、使われるものであることがわかります。
太鼓と物語による地元のおもてなし
「わんこ」は、木のお椀を意味する地元の方言です。わんこそばでは、この控えめな言葉がひとつのおもてなしのスタイルを丸ごと担っています。小さな一杯が次々と運ばれ、食事には独特の楽しいリズムがあります。これは、岩手の風習が博物館の中だけにとどまっていないことを知る一つの方法です。
盛岡さんさ踊りは、夏にその一体感を通りへと持ち出します。さんさ踊りは「さんさの踊り」という意味で、グループが和太鼓(日本の太鼓)や笛、掛け声に合わせて踊ります。旅行者はパレードを見物できるほか、参加できる時間帯には踊りの輪に加わることもできます。遠野では雰囲気がもっと静かです。地元のガイドや住民がこの地の民話を今も語り継いでおり、物語を棚にしまっておくのではなく、人から人へ手渡すものとして扱っています。
季節によって変わる旅
北上では春の訪れが目に見えてわかります。展勝地公園では川沿いに桜並木が続きます。盛岡の旧城跡も桜を楽しめる場所です。夏になると関心は海岸へ移り、浄土ヶ浜の小石の浜などが注目を集め、さんさ踊りが盛岡に太鼓の響きをもたらします。
秋には一関周辺の田んぼが黄金色に染まり、八幡平周辺の山々が色づきます。この季節は、平泉の庭園をゆっくり眺めたり、盛岡の木々の間を散策したりするのに向いています。冬には県の山側がひときわ個性を放ちます。盛岡周辺ではウィンタースポーツが魅力の一つとなり、温泉(天然の温かい泉)に浸かるのも寒い日の別の過ごし方です。岩手の季節の風景は一つではありません。海岸、内陸の町、高地がそれぞれ異なるペースを刻んでいます。
アクセスと現地での移動
本州北東部を走る日本の高速鉄道路線、東北新幹線は、東京や仙台から来る際の一般的な手段です。岩手県内の停車駅には、県南部への一ノ関、中部への盛岡、北部への二戸があります。いわて花巻空港も到着地点の一つです。
盛岡からは、バスとJR山田線が沿岸の宮古方面へ結んでいます。三陸鉄道リアス線は宮古や釜石など沿岸の地域を結び、ほかの鉄道路線が花巻、遠野、釜石などをつないでいます。駅と個々の観光地の間は、バス、タクシー、レンタカーで補えます。岩手は山々、内陸の谷、長い海岸線にまたがって広がっているため、県全体を一回の日帰り旅行として扱うのではなく、1つか2つの地域を選ぶとよいでしょう。
出典
- Iwate | Tohoku | Destinations | Travel Japan - Japan National Tourism Organization (Official Site)
- Morioka | Iwate | Tohoku | Destinations | Travel Japan - Japan National Tourism Organization (Official Site)
- Hiraizumi – Temples, Gardens and Archaeological Sites Representing the Buddhist Pure Land - UNESCO World Heritage Centre
- Explore Sanriku Fukko (reconstruction) National Park | National Parks of Japan
- Jodogahama Beach | Travel Japan - Japan National Tourism Organization (Official Site)
- Protecting Nature and Traditions: Regional Tourism in Higashimatsushima and Tono | Sustainable Travel Experiences in JAPAN | JNTO
- 6 Things to See and Do in Iwate Prefecture | Blog | Travel Japan (Japan National Tourism Organization)
- Auspicious, Nutritious, and Delicious | Travel Japan (Japan National Tourism Organization)
- Wanko Soba (Morioka) | Sightseeing Spots | Iwate trip IWATE Official Travel Guide
- Special feature on Iwate techniques – traditional crafts | Special Trip Features | Iwate trip IWATE Official Travel Guide
- Sansa Odori Festival | Travel Japan - Japan National Tourism Organization (Official Site)
- いわて県内のアクセス | 岩手県公式観光サイト「いわての旅」
- 岩手県 - Industry in Iwate