和歌山県
和歌山は、高野山と熊野の巡礼の山々に、長い海岸線、みかん畑、温泉、そして保存の知恵がかたちづくった食を併せ持っています。
山、浜辺、そして奇岩の海岸
和歌山は、大阪の南にある紀伊半島の大部分を占めています。そのもっとも有名な二つの風景は、まったく異なる印象を与えます。巡礼の道が通る森に覆われた山々と、浜辺、漁師町、温泉が連なる海岸です。白良浜は広い白砂の浜辺で、半島をさらに回った串本には、岩と波にかたちづくられた海岸線があります。杉木立の下の散策と海辺の散策が、同じ旅の中に収まる県です。
串本では、橋杭岩と呼ばれる岩の塔の列が、未完成の橋の橋脚のように海へと延びています。周囲が海に削られる中で、より硬い岩が残ったのです。地元の言い伝えは、この地形に別の説明を与えています。僧の空海といたずら好きな天邪鬼が、朝までに橋を架けられるかを競ったというのです。地質学と民話のどちらかを選ぶ必要はありません。どちらも、ここの人々がこの海岸をいかに身近に見つめてきたかを教えてくれます。
二つの聖なる風景、二つの旅のかたち
和歌山北部の山上の寺町・高野山は、1,200年以上にわたり真言密教の中心地となってきました。寺院には、真言宗の総本山である金剛峯寺や、空海の御廟へ続く参道が杉、墓石、供養塔の間を抜ける奥之院があります。一部の寺院は宿坊(寺の宿泊施設)を提供しています。宿坊に泊まれば、主要な建物を訪れるだけにとどまらない形で町を体験できます。
南部の熊野古道とは、紀伊半島を通る古い巡礼路のネットワークのことで、一本の連続したハイキングコースではありません。かつての天皇(上皇・法皇)を含む巡礼者たちは、熊野三山と総称される三つの神社、本宮・速玉・那智を目指して旅しました。その聖地とそれらを結ぶ道は、紀伊山地にまたがる世界遺産の一部を成しています。那智では、神社と隣接する青岸渡寺が、神道と仏教の実践が交わってきた長い歴史を思い起こさせます。道にも選択肢があります。何日もかけて歩くこともできれば、バスで短い区間まで行ってそこから歩くこともできます。
和歌山が保存するもの、そして育てるもの
まずは梅干しから。梅の実を塩漬けにし、干して漬け込んだもので、鋭い酸味があり、よくご飯と一緒に食べられます。和歌山の梅栽培は江戸時代にさかのぼり、梅は飲み物やその他の地元産品にも使われます。次に、ここで何世紀にもわたって栽培されてきた小さく甘い柑橘、みかんを探してみてください。寒い時期には、新鮮なみかんが、一年中手に入る保存食の梅干しとは違う県の味を届けてくれます。
保存の知恵は別のかたちもとります。湯浅では、しょうゆ(醤油)の物語が、約800年前に仏教の僧が作った発酵大豆の調味料と結びついています。そこから生まれたうま味のある液体が醤油へと発展したと言われ、古い醸造所の建物が今も町の景観の一部となっています。熊野周辺では、めはり寿司が高菜の漬物の葉でご飯を包んでいます。屋外で働く人々のための携行食として始まったもので、散策の後に食べるのにも理にかなっています。高野山では、精進料理が野菜や植物を中心とした仏教の菜食料理であり、和歌山市には豚骨と醤油による独自のラーメンがあります。
道と儀式が刻む季節
春には桜が咲き、熊野を歩くのに快適な気候になります。この季節は地元の信仰生活の一部でもあります。熊野本宮大社の例大祭では、湯の峰温泉で身を清めた子どもたちが、父親に肩車されて古い巡礼路の一部を進みます。初夏には田植えによって、道沿いの棚田の姿が変わります。雨にはここならではの趣があり、古い石畳を黒く濡らし、山々に霧をたなびかせます。
夏は浜辺と、那智の火祭りである那智の扇祭りに注目が集まります。松明を持った人々が、滝にゆかりのある12体の扇神輿を清めます。この儀式は、那智が単なる景勝地ではなく祈りの場であることをはっきりと示しています。秋は山歩きに彩りを添え、冬には熊野の一部にうっすらと雪が積もることもあります。沿岸でも山でも、寒い時期には温泉がうれしい気分転換になります。和歌山の季節は、人々の歩き方、農作業、集い方、祈り方の変化として捉えると理解しやすいでしょう。
和歌山への入り方を選ぶ
多くの旅行者は、大阪から電車で和歌山市を経由してやってきます。関西国際空港もこの地域と便利につながっています。最初の目的地が高野山なら、別の行き方のほうが理にかなっています。大阪の難波エリアから南海電車で極楽橋まで行き、ケーブルカーで寺町へ上ります。到着後は路線バスが移動の助けになります。
南部の沿岸と熊野へは、列車が紀伊田辺、紀伊勝浦、新宮などの町まで行き、そこからバスで内陸の神社や登山口へ向かいます。那智へは紀伊勝浦からバスで、本宮へは紀伊田辺からバスで行けます。山の道、寺町、沿岸の立ち寄り先はかなり大きな半島に点在しているので、到着駅を選ぶ前に、巡りたい地域を決めましょう。高野山と熊野にそれぞれ別の時間を確保すれば、両方を駆け足で回るのではなく、その間の移動も含めて楽しむ余裕が生まれます。
出典
- Wakayama | Kansai | Destinations | Travel Japan - Japan National Tourism Organization (Official Site)
- Koyasan | Wakayama | Kansai | Destinations | Travel Japan - Japan National Tourism Organization (Official Site)
- Kumano Kodo Pilgrimage Route | Travel Japan - Japan National Tourism Organization (Official Site)
- 橋杭岩|スポット|和歌山県公式観光サイト
- Wakayama’s Local Flavours | Discover 2 Must-Try Dishes | JNTO
- Japan’s Essential Seasoning | Travel Japan (Japan National Tourism Organization)
- 熊野の春の風物詩|特集|和歌山県公式観光サイト
- 地域の人がすすめる熊野古道の新たな魅力|特集|和歌山県公式観光サイト
- Nachi Fire Festival | Travel Japan - Japan National Tourism Organization (Official Site)