中部 地方

岐阜県

岐阜県は美濃の川から飛騨の雪深い山々まで広がり、古い街道、今も続く工芸、そして活気ある地域の伝統があります。

Mountain scenery viewed from the Shinhotaka Ropeway observation deck.
Photo: alonfloc, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons

二つの地域、二つの気候

岐阜県には海岸線がありませんが、県の多くを形づくっているのは水です。南部の美濃地方は濃尾平野に開け、木曽川、長良川、揖斐川が流れています。北へ向かうと、飛騨地方は標高3,000メートルを超える山々へと高まっていきます。岐阜を表す古い言葉「飛山濃水」は、「飛騨の山、美濃の水」という意味です。旅をしながら移り変わる景色を思い描くのに役立つ表現です。

その違いは見た目だけではありません。北部の飛騨では冬に多くの雪が降ります。岐阜市では二つの風景が一つの眺めに収まります。長良川が金華山のふもとを流れ、その山頂には岐阜城が建っています。県内を横断する旅を計画する前に、美濃と飛騨を、同じ天気の近い立ち寄り先ではなく、別々の地域として考えておくとよいでしょう。

城、宿場町、そして農家

岐阜は、何世紀にもわたって重要だった道の上に位置しています。戦国武将の織田信長は、天下統一を目指す中で岐阜市の上にある城の跡地を拠点としました。現在見学できる城は20世紀に再建されたものです。さらに西の関ヶ原の古戦場は、決定的な戦いを今に伝えています。高山では、古い町並みが保存された三町(さんまち)が、江戸時代の商人や職人たちのより静かな物語を伝えています。

岐阜県南東部では、その時代を別の形で歩いて体感できます。馬籠宿は、江戸(現在の東京)と京都を結ぶ内陸の街道、中山道の宿場町(旅人が休息できる場所)でした。石畳の通りが集落の中を上っていきます。北部の白川郷では、物語の主役は農家の人々です。荻町の急勾配の屋根をもつ合掌造りの家々は、蚕を育てるための空間を備えていました。これらはユネスコ世界遺産の一部です。

使うために作られたもの

岐阜の工芸の伝統は、人々が何を必要としていたかを見ると理解しやすくなります。関では、刀づくりの技術が包丁やはさみなど日常使いの刃物の生産へと発展しました。丈夫でありながら繊細な手すきの和紙である美濃和紙は、紙を張った引き戸である障子に重宝されました。東濃地方の美濃焼は、単一の模様ではなく幅広い焼き物の総称で、織部や志野はその様式の一つです。

高山は、ものづくりの別の一面を見せてくれます。その歴史ある町並みは商人や職人の仕事を中心に発展し、春と秋には祭りも行われます。郡上八幡にさえ、意外な製造の名物があります。日本の飲食店のショーウィンドウでおなじみの、本物そっくりの食品サンプルです。岐阜の工芸品店は、お土産としてだけでなく、品物とそれを作る術を身につけた町とのつながりという点でも興味深いものです。

食卓に並ぶもの

飛騨では、きめ細かな霜降りで知られる飛騨牛に出会えます。長良川沿いでは、鮎がよく丸ごと塩焼きにされます。この魚は、夕食を鵜飼とも結びつけます。鵜飼とは、訓練した鵜を使って魚を捕る、長く受け継がれてきた漁法で、岐阜市の川で今も続いています。

日常の食べ物にも独自の魅力があります。鶏ちゃんは、鶏肉とキャベツを地域によって異なる調味料で炒めた料理で、味噌(大豆を発酵させたペースト)をベースにすることもあります。体が温まる気取らない料理が食べたいときに探してみてください。中津川では、栗きんとんといえば手で形を整えたほんのり甘い栗菓子のことです。その栗の風味は、特に秋にぴったりに感じられます。これらの食べ物を合わせて味わうと、岐阜の山、川、農村の町の味を知ることができます。

一年と、そこに暮らす人々

春には桜が咲き、高山の春の祭りが行われます。夏には岐阜市の川が鵜飼と結びつき、郡上八幡は郡上おどりで賑わいます。この盆踊り(地域の人々が一緒に踊る祭りの踊り)は、初めての人も輪の中に迎え入れてくれます。隣の人を見ながら、踊りながら振りを覚えればよいのです。踊り手はよく浴衣(夏用の薄手の着物)と下駄(木製のサンダル)を身につけますが、特別な服装は必須ではありません。

秋には高山のもう一つの祭りがあり、郡上周辺の木々の茂る丘が色づき、美濃では手すき和紙のあかりアートが見られます。冬は北部で大きく様子が変わります。白川郷の茅葺き屋根の周りに雪が積もり、郡上や高山エリアにはスキーを楽しむ人々が訪れます。岐阜県南部だけを拠点にした冬の旅は、飛騨で過ごす旅とはまったく違ったものになるでしょう。季節は景色だけでなく、旅そのものも大きく変えます。

岐阜の巡り方

東京や大阪から列車で訪れる場合、名古屋が一般的な出発点です。そこから鉄道で岐阜市へ向かい、高山本線に沿って北へ、下呂を経て高山へと進みます。高山からはバスが白川郷や山の目的地へ続いています。下呂は温泉街で(温泉とは温かい湧き湯のことです)、飛騨への旅の途中で立ち寄るのにちょうどよい場所です。

ほかのルートは、この南北の旅から枝分かれしています。郡上八幡へは、美濃太田で長良川鉄道に乗り換えるか、名古屋や岐阜からバスを利用します。馬籠へは中津川を経由し、路線バスで向かいます。岐阜市内からは金華山や城のエリアへバスが出ています。人々が訪れる場所は谷や地域をまたいで点在しているため、県全体を一日で横断しようとするより、一つのエリアを拠点に選ぶほうが快適な旅になります。

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